狩野川釣行の悔しさもまだ癒えない6月初旬に息子から「野尻湖に行こう」との提案が・・・。

ネット検索でメーター級が何本か上がっているのを見て、行きたくなったようだ。

最初は6月中旬に行く予定だったが、息子の予定が合わずに変更。7月9日(水)に再決定し、その日を迎えた。

息子は相当悔しかったらしく、その後ロッドとリールを一組追加。埼玉にあるカープフィッシング専門店に伺って、ボイリーとそのボイリーに会うリキッドも購入。私はボイリーだけでは集魚力が弱いと感じたのでマルキューの練り餌(巨鯉Ⅱ)とおもりを購入。おもりなんて久しぶりに買ったけど、やたら値上がりしててビックリ。昔は一つ50円とかで買えたと思ったんだけど、8つ入りのパックで約1,000円。色々値上がりしてるけどそれをおもりで実感するとは・・・。

前日に息子は東京から山梨に戻ってきた。

野尻湖は「夜釣り禁止」でおかっぱりからの釣りは「日の出から日の入りまで」となる(ボートは7時~16時まで)。

そこで朝まずめに合わせて山梨を1時に出発。野尻湖到着を4時として、夕まずめまで目いっぱいやることにした。

野尻湖到着

自宅近くのコンビニで食料や飲み物を買い込んで出発。中央道~長野道を乗り継いで、ちょうど周りが白み始めるころに到着。日釣券(700円)を2枚購入して、事前に調べておいたポイントへ。ちょうどその道の先が工事で通行止めになっており、車も釣り座の近くに止められそうだ。

だんだん景色が鮮明になるにつれて、水の透明度と神秘的な雰囲気に感動。釣れそうな雰囲気をビンビンに感じながらバケツに水を汲んだときに「ちょっと(水が)ぬるすぎる・・・」という感じがしたが、息子も私も今回はボイリーでPVAバッグに巨鯉Ⅱをちょっと練ったものを詰め込んで投入。

事前情報ではポイントは水深5mラインだそうだが、岸からの距離は70~100mライン。ボイリー単体ならどうにか飛ばすこともできるけどPVAバッグが抵抗になるということと、さらに釣り座の真上に電線があって私の竿の長さでは振り切れず。そこで中腰で竿を振ることになるがなんとか振り切っても5~60mが限界で水深は3m前後と言う感じ。それでも鯉は回遊魚だから餌に気づけば・・・と言う期待込みでやることにした。

野尻湖。神秘的な湖だ。

猛暑の中で粘る

朝方は涼しく、息子とも「これくらい曇ってれば、昼間も暑くなくていいね~」なんて言っていたら、どんどん雲は消えてなくなり、次第に暑くなってきた。

風もあまりなく、じっとしているだけで汗が噴き出してくる状態に。さらに息子は日焼けができないため、長袖長ズボンの完全装備。ダラダラと汗をかきながら待つ時間の長いこと。持ってきた水やジュースが次々と空になっていく。

それでも暑さに負けずに粘る。ただやってみて分かったのが、湖底の水草が面倒だということ。仕掛けを引き上げるたびに水草が釣れてくる。そして時には水草に負けて仕掛けロストに・・・。私も息子も何度か打ち換える中で1回ずつ水草にやられてしまった。

ウンともスンとも・・・

暑さにへこたれず、それでも打ち返す。

しかし、竿からの反応は何一つなく、トンボが羽を休めに竿に止まる始末。

もともと難しいのは分かっていた。産卵後で体力が回復していないため、釣期としてはあまりよくなく、あと水温が高いので、より深場に集まっているだろうということ。それに初めてくる場所だしメーター級なんて滅多に出会えるものでもないということ。

それでも、万が一はある。仕掛けを投げなければ、その万が一もなくなってしまう。

「昼間は暑いから、狙いは夕方だね~」と息子に話しながら自分を励ます。

動かない竿先をずーっと眺めている間に、バス釣りの人たちがボートに乗って気持ちよさそうに湖を駆けて行く。おかっぱりから狙う人たちもちらほら。平日にも関わらず多くの人がバス釣りに来るのは、野尻湖がスモールマウスバスのメッカだから。

あと、足元にあるマンホールに目をやると「ナウマンゾウ」が彫ってあった。

野尻湖は日本を代表するナウマンゾウの産地となっており、近くに「野尻湖ナウマンゾウ博物館」もある。

出発する前に「ナウマンゾウ博物館でも行って来たら?」と妻や娘には言われたが、私たちの目的はただ一つ「鯉を釣り上げること」だけだ。ナウマンゾウを見に来たのではない。

そんな時間があれば、1回でも多く餌を打ち換え、1分でも長く粘る。

それが鯉釣りというものだから。でも妻や娘はそんなことを「無駄な努力」と切り捨てる。きっと彼女たちにはこの苦しさの向こうにある一匹の感動を知ることはないだろう。

一縷の望みをかけて

くそ暑い日中を耐えて、16時半頃に最後の打ち返しを行う。

私は最後の一投で「鯉を釣るか、地球を釣るか」の賭けに出た。

ここまで何回と打ち返して、水草が仕掛けロストのリスクになるとは分かっていたが、鯉が釣れなければ仕掛けはロストする覚悟で吸い込み+ボイリーのハイブリッド仕掛けにした。吸い込みには針が4本ついているので、その分水草に引っかかるリスクは高くなるが、針数を増やしたことで鯉が釣れる確率も高くなる。ボイリーが食わせなので餌がなくなる心配はない。

17時、17時半と日没が近づくにつれて、湖の北側にそびえる黒姫山には雲がかかりはじめ、遠くで鳴っている雷鳴が聞こえてくるようになった。鏡のようだった湖面に風でさざ波がたち、火照った肌に一時的な涼しさを運んでくる。

16時を回ったので湖面に釣りボートは一艘もおらず、日没までの静かな時間が流れる。

18時を回ったころに急に周りが暗くなったと感じ、息子とも話し合って18時30分に納竿と決めた。最後の最後まで粘ってみたが、鯉の顔や魚影すら見ることなく撤収となった。

温泉施設へ

妻たちからもう一つミッションを言い渡されていた。

「温泉に入ってくること」

理由は分からないが、日中汗だくだったので、どちらにしても温泉に浸かりたいと思っていた。

そこでスマホで調べたところ、そう遠くない場所に源泉かけ流しの日帰り入浴可能な施設があると分かった。

ナビに入れて向かったのは「アルペンブリックスパ」。22時まで日帰り入浴可能と言うことで決定。野尻湖から車で10分ほどだが、気づいたら長野県境を越えて新潟の妙高市に入っていた。

駐車場に入ると車が少なくてのんびりできそうな感じ。建物も新しい。入浴料は800円をフロントで払って浴室の扉を開けると、誰もいなくて貸切だった(サウナの方にいたみたい)。内湯は43℃近くて日焼けした足には痛く感じたのであまり入らず、屋外にある露天風呂に。湯の色が黒く(南地獄谷の硫黄分を含んだ源泉は、黒泥が混ざる黒濁湯。皮ふへの浸透効果が高く、「泉質にとことんこだわりたい!」という方にはぴったりのインパクトのあるお湯が特徴 ホームページより)、こちらは42℃くらいだったのでゆったり浸かれて気持ちよかった。

息子も何度か露天風呂とサウナに入りゆったりできたみたい。

平日だから空いていたのか、スノーシーズンじゃないから空いていたのか分からないが、満足できる温泉施設だった。(ホームページ https://alpenblick-resort.com/spa

帰路へ

アルペンブリックスパで汗を洗い流し、外に出ると土砂降りの雨が降っていた。息子も「この雨が降っていれば、状況は変わったかもね」と言っていたが、私もそう思った。

岸寄りの水温が高すぎて鯉が浅場に出てこれないと感じていた。雷鳴が聞こえていたので一雨来るかなと思っていたが、竿を出している時には降らなくて、お風呂上がりでせっかく乾かしたこのタイミングで雨に降られるというのは、ちょっと今回はツキも無かったなぁと。

車に乗り込み高速に入る頃に急に眠たくなってきた。危ないと思ったので途中のSAに入ると、既に息子は眠っていた。気を張りながらも日中の暑さに耐えて、温泉でリラックスすればそりゃ眠たくもなるだろうという話。20分くらい寝たら目が覚めたので運転再開。梓川SAで長野名物の山賊焼「丼」を食べたが★3つ。まずくはないが美味くもない。皮のパリッと感はなく、味が薄い。しょうがないのでとんかつソースで味を濃くして食べたが、22時近くのSAのサービスじゃこれが限界かも。温かいご飯が食べられることに感謝。

家に着いたのは日をまたいで0時30分頃。往復6時間弱の釣行で今回は釣れなかったけど、また一つ経験値アップはできた。息子曰く「琵琶湖にも行きたいし、北浦や利根川にも行きたい」という。息子が行きたいと思う所には行ってみたいが私はこれでボウズ2連荘。次は夜釣りができて、魚の引きを味わえるちょっとハードルの低い場所がいいなぁと感じる。

熱が入っている息子は7月にもう一回どこかに行きたいそうだ。私も身体が動く限り、一緒に行こうと思う。